議会報告 平成26年 予算特別委員会での発言(2014年3月13日)

〇中屋副委員長 伊藤こういち委員の発言を許します。

   〔中屋副委員長退席、東村副委員長着席〕

〇伊藤委員 舛添知事には初めて質問をさせていただきますが、一生懸命に、また建設的に質問させていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

 平成七年一月十七日の未明、阪神・淡路大震災が発生をいたしました。この日の夕方、私と一緒にいた友人のご両親が神戸で被災をしているという連絡がありました。翌十八日の早朝、私は、この友人とともに飛行機で羽田から伊丹空港に、そこから走って神戸に向かいました。大阪から尼崎、西宮へと進むと、その被害はますます甚大なものとなっていきました。余震が続く恐怖の中、二人で、とにかくご両親が無事であるように、助けられるように祈りながら必死で走りました。

 神戸へ向かう道々で見たもの、それは、幹線道路は大渋滞、その向こうには、大通りを塞ぐように大きなビルが横倒しになっておりました。歩道は避難する人であふれておりました。国道に並行した一本奥に入った道から進もうと思いましたけれども、木造住宅が至るところで倒壊をしている、そして黒煙が立ち上る、ガスのにおいが町中に充満をしている、電柱が倒れ、電線も垂れ下がり、ブロック塀も崩れ、道を塞いでおりました。大通りから脇道まで、至るところで道路が寸断されておりました。五時間かかって、やっとご両親が住んでいた場所に到着しました。

 そこで目に飛び込んできたものは、十一階建てのコンクリートづくりのマンションが粉々に倒壊しておりました。ご両親はその二階に住んでおられました。信じられない光景でありました。どうすることもできなかった。友人は、この崩れた瓦れきのすき間に顔をくっつけながら、父さん、母さん、助けにきたよ、迎えにきたよ、こう叫んでおりました。そして、地震が来ることを知らせてやることができたならばと、震えながら彼は泣いておりました。

 私たちは結局、ご両親を助け出すことができませんでした。本当に悔しかった。六千四百三十四名の方が、かけがえのない命を失いました。

 この阪神・淡路大震災から十九年、そして、いまだ行方不明の方も含めて二万人近くの方が犠牲となった東日本大震災から三年、伊豆大島の土砂災害から間もなく五カ月、私はここで、これまでの災害で犠牲になられた方々に、改めて心から哀悼の意を表したいと思います。

 こうした大きな災害被害からの最大の教訓は、大災害に備えて、一人でも多くの人を守るために、事前にやれることは全てやるということであります。逆に、風化とは、時間とともに被災者や被災地を忘れることであり、また、二度と同じような悲劇を繰り返さないという教訓の具体策を後世に生かすことができないで忘れることであります。

 いつか必ず来る首都直下地震、都は今、都民、国民の命を守るために、国や区市町村と連携をして、事前の災害対策を総合的にわたって実施しております。

 しかし、その中の一施策だけを取り上げて、ためにする反対で中止せよだとか、無駄な事業だとか批判したり、都民の不安をあおり立てる一部の議員がいる。

 阪神大震災では、五百五十九名の方々が、生きながらにして火災によって亡くなりました。

 都が作成した首都直下地震被害想定によると、私の地元品川区だけでも、最悪の場合に死者七百七十九名、そのうち五百二十名が火災による死亡となっております。

 さきに述べたような一部の議員は、阪神・淡路大震災の惨状を知っているのか、現場に行ったのか、見たのか。まるで机上の空論で都の災害対策を批判しているようでありますけれども、本当に大惨事となったときに誰が責任をとるのか、私は問いたいと思います。

 あらゆる観点から必要な手だてを講じて、一人でも多くの人を守りたい。私は、この決意で都議会議員として働いてまいりたいと思うのとともに、以下、質問、また提案をさせていただきます。

 まず、都の災害対策によって、生活不安や負担が生じる都民がいることも事実であり、こうした方々に対しては、一人一人丁寧に対応し、これまでにない手厚い支援を講じるよう、まず東京都に強く求めておきます。

 さて、災害による被害を最小限に食いとめるためには、まず情報が大事であります。情報こそが命といっても過言ではありません。

 神戸で友人がいっていた、地震が来ることを知らせてやることができたならば、私は、この言葉が今でも耳を離れません。あらゆる災害対策とともに、情報、とりわけ大地震が発生する直前の情報が重要だと私は考えます。

 気象庁は、日本の科学技術を結集して、世界に誇る緊急地震速報を二〇〇七年から本格運用しております。このシステムは、大変にすぐれたすごいシステムだと私は思います。緊急地震速報とはどういう仕組みなのか、改めて確認をしたいと思います。(パネルを示す)皆様のお手元にもお配りをさせていただきました。

 地震が発生すると、まず、この揺れというものは波になって地面を伝わってきます。その波にはP波、最初という意味のプライマリーのP波、そして、二番目という意味のセカンドリーのS波、この二つがあります。主に被害をもたらすのは、このS波であります。

 地質によって多少の違いはあるわけでありますけれども、今いった先のP波、これは一秒間で七キロ先に進んでいきます。物すごいスピードです。一と数えている間に、七キロ先にこのP波が伝わっていきます。そして、後からのS波、これは一秒で四キロ進んでいきます。

 つまり、このP波の方が物すごいスピードで進む。その後をS波がおくれて追いかけていく。こういう速度の差を利用して、先に伝わるP波を検知した段階で、被害をもたらすS波が後でやってくる前に危険が迫っていることを知らせるというのが、この緊急地震速報であります。

 このシステムは本当にすごいと思います。数秒でもあれば、身を守るために何か一つでも行動ができるわけであります。子供たちも、身構えることができるわけであります。

 私は、都議会において、都立施設を初め、日中に子供たちが多くの時間を過ごす学校に、まず早急にこの緊急地震速報を設置、導入すべきと繰り返し求めてまいりましたが、そこでまず、現在、都内の公立学校における緊急地震速報の設置状況について伺います。

〇比留間教育長 都立学校におきましては、平成二十年度に、緊急地震速報が即時に児童生徒に伝わる体制を全校で整備いたしました。

 また、公立小中学校については、各学校の取り組み状況を調査し、区市町村教育委員会に学校の実情に即した事例を紹介するなど、緊急地震速報が伝わる体制の整備を促してまいりました。

 この結果、本年二月末時点で、公立小中学校千九百十八校のうち、千五百八十四校、割合にして約八割の学校に整備をされております。

〇伊藤委員 一年前までは整備率が三割であったものを、特にこの一年で整備率八割まで大きく進めていただいた都教委の皆様に心から感謝を申し上げたいと思います。

 今後も、緊急地震速報を使った防災教育の推進など、子供たちの命を守るために、引き続き頑張っていただきたいと思います。

 一方、現行の緊急地震速報にも限界があることは、気象庁自身も公表しております。それは、一つに、震源に近いところでは速報が間に合わないということ、二つ目に、少ない観測点での短時間での観測データから予想するため、精度が十分でなく、速報が発表できない場合があるという、この二つであります。

 そこでまず、震源地に近い地域には間に合わないということですが、それは、首都直下地震では緊急地震速報が作動しない可能性が大きいということであります。

 これをもう少し詳しく、どのくらい近いところに間に合わないのか調べてみますと、気象庁のホームページには、緊急地震速報のシステム的限界が掲載されておりまして、これまでの経験、実績から、震源地より約三十キロメートル以内では警報が間に合わないことがわかります。(パネルを示す)

 そこで、一例として、都が作成をした被害想定の上に、仮に東京湾北部が震源の場合として、約三十キロの弧を当てはめてみますと、甚大な被害が発生する震度六強以上の地域には緊急地震速報が間に合わないということがわかるわけであります。震度が大きなところほど間に合わない。これは大変なことであります。

 さらに、この三十キロメートルの弧を、今度は円にしてみます。そうして見てみますと、国とか、都とか、あるいは千葉県、神奈川県、あるいは区市などの主要施設がこの三十キロの中に集中しております。加えて、平日の昼間の発生であれば、このエリアに数千万人の人が活動している可能性があるわけであります。都庁も間に合いません。国会議事堂も間に合わない。私の地元の品川区役所もこの円の中であります。恐らく、本日いらっしゃる議員の皆様、都の幹部の皆様、ご自分の自宅もいかがでしょうか。これは大変なことになるわけであります。この地域に、何の情報もなく、いきなりどんと来たならば、大変なことになるわけであります。

 また、気象庁が限界という、もう一つの課題、少ない観測点での短時間での観測ということを調べてみますと、全国的な観測点は、平均して約二十から二十五キロメッシュと間隔が広く、目が粗くなっております。

 これを東京で見てみますと、このシステムに使われている観測点は、二十三区で二カ所、多摩地区で四カ所であり、島しょを除く都内で、合わせてわずか六カ所しか観測点がありません。

 そこで、首都直下で発生する巨大地震に備え、沿岸部や東京湾海域、多摩地域などに五キロメッシュ程度に地震観測器を増設して、そしてまたネットワーク化をして、その場で観測して、その場で警報できる、気象庁の緊急地震速報システムを補完する新たなシステムが必要であると私は考えます。

 つまり、先ほど申し上げました、ここがもし震源地だとすれば、P波が先に伝わっていきます。後からS波が追いかけていきます。今申し上げたように、都には六ヶ所しかないんです、このP波を観測しているシステムを使っているところは。これを沿岸地域に、仮にP波を先にキャッチできる機械を沿岸部に、ずっとこれをつけていく。五キロメッシュにつけていく。そして、その後、このP波を感知すれば後からS波は追いかけてきますから、この距離によっては、五秒でも十秒でも、時間を前もって知らせることができるわけであります。やればできるんであります。

 そこで都は、首都直下地震等の際に都民、国民の命を一人でも多く守るために、都立施設等に現行の緊急地震速報を補完するシステムを設置することで、施設内の利用者へ地震の到達を予告できる東京版首都直下緊急地震速報システムを構築すべきであります。まずはその研究、検討を進めるべきでありますが、見解を伺います。

〇中西総務局長 現在、気象庁が発表いたします緊急地震速報につきましては、都庁舎を初めとする複数の都立施設に導入され、庁舎内の人々に注意喚起を行うとともに、エレベーターの制御等にも活用されております。

 委員ご指摘のとおり、緊急地震速報につきましては、地震発生直後の地震波を感知することで、その後の強い揺れに対し警告を行うシステムであるため、震源に近い場所では間に合わないなどの課題があり、気象庁もその限界を認めております。

 緊急地震速報は、スピードや精度においていまだ改善の余地があり、首都直下地震に対応するための手法等について研究、検討を進めるとともに、国にその改善を求めてまいります。

〇伊藤委員 ぜひ東京都の姿勢として、首都直下地震は、まさに東京都の真下で起きる地震であります。この東京都が主体となって、このことをしっかりと進めていただきたい、このように思います。

 神戸で、倒壊したマンションの前でなすすべがなかったとき、私は近くの人に、誰かバイクを持っていませんか、こう声をかけました。そして、その中の一人の方が、これを使ってくださいといってバイクを、キーを貸してくださいました。私は、そのバイクで神戸の消防署、警察署、そして自衛隊が集結している王子公園へ向かいました。そして、助けを求めに行きました。

 すると、数時間後、緊急自動車などの救援が入ってこられない状況のもと、自衛隊のオフロードバイクが倒壊家屋を縫うように走って、瓦れきの山を乗り越えて、要救助者の状況の把握や、そしてまた、被災地域の情報を収集し、無線で自衛官が基地局に情報を伝達する姿を目の当たりにしました。このパネルはそのときのものではありませんが、東日本大震災で救援活動を行っている自衛隊のオフロードバイクであります。

 また、近県からは、多くの青年たちが支援物資をバイクに積み込んで、結びつけて、そして救援活動に参加しておりました。

 首都直下地震は、いつ、どこで、どのぐらいの規模で発生するか予測できないのであります。恐らく、都市を襲った阪神・淡路大震災と同じような惨状に、いや、あの何倍もの大規模災害となる可能性があります。

 また、多摩地域の山間部で、そしてまた、島しょ部で災害があれば、舗装されていない林道に入っていかなければならないこともあります。

 こうした状況が想定される中、私は、悪路や悪条件のもとでも走ることができるオフロードバイクの活用に着目をすべきだと思います。

 一方、東日本大震災や昨年の伊豆大島での災害を教訓としても、災害発生直後は、大きく被害を受けた区市町村ほど、迅速な情報を収集し、それを都や関係機関に送ることは困難であります。都は、大震災発生直後、入ってくる情報を待つのではなく、迅速に積極的に情報をとりにいくべきであります。

 都として、四輪駆動車や自転車、あるいはスクーターなどを配置していることは知っておりますけれども、災害発生直後に積極的情報収集を行うための機動的移動手段として、オフロードバイクを導入していくべきと考えますが、見解を伺います。

〇中西総務局長 首都直下地震等の際には、被災地域が相当な広範囲に及ぶことが想定されるため、関係機関が連携しながら情報を収集し、それを共有していくことが重要でございます。

 具体的には、区市町村の職員等により各地域の被害状況を調査し、都と区市町村を結ぶ災害情報システムを活用して、相互にその情報を共有いたします。自衛隊、警察、消防の各機関も、隊員やヘリコプターを展開するなど情報収集を行い、都へ情報提供いたします。

 さらに、都も、都庁の高所カメラや、道路、河川に設置しているカメラ映像等による情報収集に加え、出先事務所等の職員が、その管理する施設について直接調査を行うほか、区市町村の役場等に職員を派遣して情報収集と連絡調整を行います。

 お話のオフロードバイクは、道路事情が厳しい際にも移動手段として有効であり、現状を踏まえつつ、その活用も含む災害時の情報収集方法等につきまして、各局と連携しながら検討してまいります。

〇伊藤委員 オフロードバイクの活用は有効だというご答弁でありました。ぜひこれは導入をしていただきたいと思います。

 オフロードバイクを乗りこなし、情報通信を扱える人材を育成する必要があります。先日、私は都議会公明党のメンバーと、静岡市のオフロードバイク隊、スカウトというバイク隊を視察、調査してまいりました。(パネルを示す)

 その部隊は、東京都の宮嵜危機管理監のように、自衛官から職員に採用された方が、阪神・淡路大震災でバイクの機動力が有効だったことに着目をしてバイク隊の結成を提案、大震災の翌年、平成八年にこのバイク隊は設置をされました。

 隊員は、中型バイク以上の免許の所持者で、みずから志願した一般の職員であります。現在は三十一名、出先機関など市内の二十七課のそれぞれに所属をして、危機管理部防災課に兼務職員として位置づけられております。

 ふだんはそれぞれが所属する部署で、バイク隊の誇りを胸に人一倍日常業務に精励しておりますけれども、いざ災害時にはバイクで被災地に急行し、初期情報を収集し、市や関係機関への伝達を行う部隊であります。

 装備は、二百二十五ccのオフロードバイクに、デジタル地域防災無線、モールス信号、衛星携帯電話、ロープや水、食料などを携行し、自立完結した活動と任務遂行ができるようになっております。

 訓練は、定期的に県警交通機動隊、また、企業所属のプロライダーなどの指導のもと行われ、特に自衛隊との合同訓練により本格的に人材育成されております。

 これまでも、静岡県内で起きた地震や集中豪雨の際に出動したほか、東日本大震災では先遣隊として現地に派遣されました。パネルはそのときの写真であります。

 舛添知事、このライダーは、静岡市の一般の職員であります。自衛隊と同じぐらいのレベルまで訓練をされている一般の職員であります。

 ここでは、約二カ月にわたって活動し、岩手県から福島県まで約五百キロの沿岸地域の被害調査を行い、被災自治体や自衛隊などに逆に情報提供しております。さらに、地元静岡市に収集した情報を送って、その情報をもとに、遠く離れた静岡市から被災地へ的確な支援につなげるなど、その機動力を発揮したオフロードバイク隊でありました。

 大災害発生直後、警察は警察、消防は消防、まずは救出、救援活動に全力を尽くすわけであります。自衛隊は、まずヘリからの情報収集と各駐屯地からの災害派遣となります。つまり、それぞれがその初動活動の目的が明確となっております。

 一方、都は、行政機関として情報の空白時間を最小限に食いとめ、幹線、支線道路の情報や、水道や下水道、あるいは橋、病院などの主要施設、避難所周辺の火災発生状況などの情報を、都として速やかに収集して区市町村を支援する責務があると思います。

 そこで、都として、静岡市のオフロードバイク隊のこうした取り組みを参考に、災害時や首都直下地震の際、都職員としての専門的目線を持ち、即座に情報収集、調査活動を行える東京オフロードバイク隊の設置をすべきだと考えますが、見解を求めます。

〇中西総務局長 首都直下地震等の際には、被害地域が広域にわたることから、区市町村を初めといたします関係機関が連携協力しながら情報収集などの災害対応を行います。

 都の職員につきましては、所属や住所に応じてあらかじめ定められた災害対応を行うこととなっており、具体的には所管施設の被害状況の調査、復旧、都立公園等での大規模救出救助活動拠点の設置、医療機関等との調整、避難所運営の支援などを行います。

 各局が所管施設の被害状況などを調査する際に、緊急通行車両として位置づけられた自動車等を活用する例がありますが、これに加えまして、オフロードバイクの活用が有効な場合もあると想定され、今後、その活用について検討してまいります。

〇伊藤委員 舛添知事は、就任後初めての施政方針表明で、東京都職員十六万五千人の力を引き出し、束ね、たとえ困難な道であっても、地に足をつけて前へと進みますと述べられました。ぜひとも、都職員の能力を引き出して、東京オフロードバイク隊の創設、そして、先ほどの東京版首都直下地震緊急地震速報の実現に、知事を先頭に全力で取り組んでいただきたいと思います。

 東京発信で世界一安全な都市を構築する舛添知事の所見を伺います。

〇舛添知事 さまざまな大変貴重なご提案、ありがとうございました。伊藤委員おっしゃるように、危機管理で一番重要なのは情報であります。そして、強力なリーダーシップでそれに基づいて対応するということでございます。直下型地震に今の緊急地震速報が対応できないということでありますので、これは早急に、都としても国とともに研究を進めていきたいと思っております。

 それから、オフロードバイクですけれども、これは、まず全体を鳥の目で見て被害状況を見ないといけない。しかし、ヒューミントといわれるヒューマンインテリジェンスというのは非常に重要でありますので、恐らくその点についてもオフロードバイクというのは非常に有効になるというふうに思っております。

 ただ、バイクだけではなくて、そこにどういう情報通信手段をつけるかとか、それから、緊急車両も入れない、一切の車両が入っちゃいけないという警察の規制があったときに、自衛隊だって入れなかったわけですから、そういうものについて法的な側面をどうするか、そういうことを総合的に検討しないといけない、そういう課題がまだまだあると思いますけれども、しかし、貴重な提案として、今後、都民の生命と財産を守る、そのためには情報収集というのは基本であるという観点から、伊藤委員のご提案につきまして前向きに取り組んでまいりたいと思っております。

〇伊藤委員 前向きなご答弁、本当にありがとうございます。

 次いで、命を守る観点から、配偶者暴力対策について質問をいたします。

 連日のように、通り魔、虐待、DV、ストーカーなど、悲惨な事件が続いております。こうした中、人の命をしっかりと守っていく社会を築いていかなければいけません。とりわけ、被害者本人のみならず、子供にも重大な影響を与える配偶者暴力については、未然防止から即時対応まで、万全の体制を整備する必要があります。

 平成十三年に制定された配偶者暴力、いわゆるDV防止法は幾度か改正され、本年一月からは、結婚をしていなくとも一緒に住んでいる交際相手からの暴力及びその被害者についても、この法を準用することとなるなど整備されつつあります。

 一方で、記憶に新しい、伊勢原市の元夫による女性刺傷事件や、文京区では父親が小学三年生の男の子を道連れに焼身自殺を図った事件など、被害は深刻化の一途をたどっております。

 ここでパネルを見ていただきたいと思います。先ほど申し上げたように、平成十三年にDV防止法が制定をされまして、その後でありますが、これが平成二十四年度でありますが、年々物すごい勢いでこの相談件数が伸びております。

 中でも、区市町村におけるこの相談件数の伸びは顕著であります。まずは被害者の安全確保、そして生活再建のためには、住民基本台帳の閲覧制限や生活保護等の支援を担う身近な窓口である区市町村の役割が、これまで以上に重要になっていることがわかります。

 しかしながら、迅速に的確に困難事例などにも対応できるDV相談支援センター機能を有している区市町村は、現在、わずか五区にとどまっており、都全域での体制整備にはほど遠い状況となっております。

 そこで、各区市町村が一刻も早くDV相談支援センター機能を設置することができるよう、都はリーダーシップを発揮し、人材育成も含めてしっかりと支援すべきと考えますが、都の見解を伺います。

〇小林生活文化局長 都はこれまで、区市町村に対しまして配偶者暴力相談支援センター機能の設置に向けた働きかけを行うとともに、職歴や経験に応じた多様な研修を通じて相談員の育成に努めてまいりました。

 しかし、ご指摘のとおり、区市町村における取り組みはまだ緒についたばかりであり、加速化させるには都の強力なリーダーシップが不可欠であると認識しております。

 このため、都は来年度から新たに、全ての区市町村を直接訪問し、それぞれの実態、課題を踏まえて設置に向けた助言を行うなど、アウトリーチ活動を開始いたします。

 また、センター機能設置のかなめとなる人材の育成やスキルアップを図るため、困難案件の対応事例集を作成しノウハウの共有を図るとともに、相談員などが少人数のため研修や説明会に参加しづらい区市町村に対しては出前講座を実施するなど、実情に応じたきめ細やかな支援を行ってまいります。

〇伊藤委員 DV相談支援センターを初めとする被害者支援に携わる関係機関は、事件に至ることを防ぐ被害者救済の最前線として大変な役割を果たしているわけであります。

 しかしながら、被害者側の視点から見ると、都や区市町村ごとに、あるいはNPO等の関係機関ごとに対応にもばらつきがあって、さらに、行政区域を越える広域的な連携や支援についてもいまだ不十分な点があるといわざるを得ません。

 つまり、こっちではこう対応し、あっちの区市に行けばまたちょっと違うことをいわれて、こう対応が違っていては、相談者はかえって混乱をしてしまったり、被害から守れない結果となることもあると思います。

 そこで、行き届いた支援を行っていくためには、関係機関が共通認識を持ち、日々の相談、一時保護、自立支援等、それぞれの段階において、より一層連携を強化して被害者支援に当たっていくべきと考えますが、見解を伺います。

〇小林生活文化局長 配偶者暴力被害者の救済には、相談から保護、生活再建に至るまで、支援に携わる関係機関が密接に連携し、切れ目のない支援を行うことが重要であります。

 都は、今年度の取り組みといたしまして、暴力を発見しやすい立場にある医療関係者に対し、東京都医師会の全面監修のもと、被害者対応のマニュアルを作成するなど、対応の標準化を進めてまいりました。来年度は、現場における実践的な連携を強化するため、新たな取り組みを行ってまいります。

 具体的には、まず、行政区域を越えて加害者からの避難が必要な案件について、広域連携を図るため、都と区市町村の連絡体制を整備いたします。

 また、自立を目指す被害者を支援するNPO等民間支援団体との間で、被害者の実態、ニーズの共有化や解決策の検討を協議する新たな場を設け、民間の取り組みを後押ししてまいります。

〇伊藤委員 次に、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック大会文化プログラムについて質問いたします。

 オリンピック憲章には、スポーツのみならず文化プログラムの開催がうたわれております。それは、オリンピック・パラリンピック競技大会の準備期間及び大会中の両方で開催することになっております。

 私は、二〇二〇年東京開催に向かい、準備期間中の今から、この六年が大事だと思います。この準備期間に、スポーツとともに、日本の、そして東京の文化、芸術の魅力を世界に発信するとともに、世界の文化、芸術との交流を進めながら、オリンピックムーブメントを日本中に広げていく必要があると思います。

 都として、島しょを含めた全東京を舞台に、例えば、秋葉原では、アニメなどのコスプレパレードや、昭和三十九年の東京オリンピック会場だった駒沢オリンピック公園では大盆踊り大会や被災地のグルメ紹介、また、都内各所のホール、劇場ではクラシックや歌舞伎などを開催してはどうかと提案します。

 東京中が文化、芸術で一色に染まるような文化イベントを繰り広げることにより、世界中から訪れる多くの方々が、東京に来てよかったと感じられるよう、二〇二〇年東京大会を成功に導いていくべきだと思いますが、見解を伺います。

〇小林生活文化局長 ロンドン・オリンピックでは、市の中心部で何千人もが一斉にダンスを披露するビッグダンスや、著名人の彫像に帽子をかぶせて展示するハットウオークなど、公園や広場などの町なかでさまざまな文化イベントが集中して開催され、二千万人以上が参加し、多くの人々が文化に親しみました。

 二〇二〇年の東京大会におきましても、都市が劇場になり、さまざまな場で芸術、文化を繰り広げることを立候補ファイルでうたっております。

 都民はもとより、世界から訪れる人々が国内外のアーティストとともに創作活動を行うなど、町なか至るところで文化イベントを体験できるオリンピック文化プログラムとなるよう検討を進めてまいります。

〇伊藤委員 先日、二月二十三日は第八回東京マラソンが開催され、三万六千人のランナーが東京を舞台に力を尽くしました。約百六十三万人が沿道から声援を送り、コースとなる道路は約六時間にわたって交通規制となるところもありましたが、多くの都民が協力をして見守り、そして応援をしました。

 この一大スポーツイベントとなった東京マラソンは、二〇一六年東京オリンピック・パラリンピックを目指して石原元都知事が提唱し、今や世界の六大マラソンレースにまでなりました。私は、舛添知事には、ぜひ、一大文化イベントの創設者になっていただきたいと思います。

 そこで、知事に提案ですが、ブラジルのリオのカーニバルが世界的に有名なように、東京の一大カーニバルとして、仮称大江戸東京大祭りを都庁前で繰り広げ、世界的なカーニバルにしていってはどうかと思います。

 例えば、日本神輿協会という団体が、毎年、木場公園で大江戸神輿まつりを開催しております。全国から巨大なみこしが集まり、被災地や全国からもたくさんの担ぎ手、数千人がみこしを担いで、壮大な光景の祭りであります。

 この祭りは、二〇〇三年、都が主催した江戸開府四百周年記念行事として第一回を開催して、ことしで十二回目を数える伝統的な行事となっております。

 こうした全国のみこしを初め、被災地や各地域を代表する踊り、若者のダンス、マーチングバンドなど、都庁前を盛大に行進する一大文化イベントを、準備期間から二〇二〇年東京大会まで毎年開催してはどうかと提案します。

 オリンピック・パラリンピックはレガシーが重要であります。しかし、箱物は形に残りますが、文化イベントは形では残りません。ゆえに、みこし祭りなどの文化イベントを準備期間から五輪開催時に繰り広げ、そして、五輪後も次世代への文化レガシーとして継承していくことで、永遠に多くの人の心に残るものにしていくべきと考えますが、知事の所見を伺います。

〇舛添知事 今、伊藤委員おっしゃったみこしは、古来から続く日本の祭りの象徴でありまして、担ぐ人や見る人がその瞬間高揚するだけでなく、あすへの希望や平和な暮らしへの祈りも込められていると思います。

 今おっしゃった大江戸神輿まつりのように、地域の伝統文化を生かして、町なかで多くの人の参加を得て、世界中から集まる人をおもてなしするということは大変すばらしいことだと思います。

 今後、内外の英知を結集しまして、さまざまな人が参加する、未来へのレガシーともなる、伝統文化を生かした文化プログラムをつくっていきたいと思います。

〇伊藤委員 最後に、国際コンテナ戦略港湾政策について伺います。

 国の戦略港湾政策の当初のコンセプトは、選択と集中の理念のもと、重点投資する港湾を公募によって選定し、我が国港湾の国際競争力を強化するものということでありました。

 しかしながら、この国の政策あるいは港湾法でありますけれども、これが時とともに随分変わってきてしまった、首をかしげざるを得ないような、こうした状況も出てまいりました。

 特に、政策の目玉として創設をされた港湾運営会社制度には問題があります。

 そもそも国の戦略港湾政策は、ふ頭会社へ民間人の社長を導入するなど、民の視点による柔軟な港湾経営を目指すこととしていたはずであります。現に、東京都ではそのようにして今改革が進んでいるところでありますが、ところが、国の港湾法では、民の視点と逆行するような規制強化という色が濃い内容となっております。

 そこで、港湾運営会社に課せられている規制について、具体的にはどういう内容なのか、これを伺いたいのが一つ。

 そしてまたもう一つは、この港湾運営会社に対して、国が出資するということになっておるようでありますけれども、国の方は、会社の迅速な意思決定ができるようになると、聞こえのいいようなことをいっておりますが、現実には国の関与がますます強まっていくことになります。

 また、国は、この出資により、投資に必要な資金を低利で調達が可能となると、これまた聞こえのいいことをいっているようでありますが、港湾運営会社に対しては、もともと国や自治体が無利子で港湾施設の整備費用を融資する制度があるはずであります。

 こうした意味のないことをいってきているわけでありますが、そこで、先ほどの質問とともに、港湾運営会社へ国が出資するという制度に対し、都の見解を伺うとともに、今後の東京港に対する都の姿勢について局長の決意を伺い、質問を終わります。

〇多羅尾港湾局長 港湾運営会社には、利用者の求めるサービス向上に迅速に対応していく上で、障害となる幾つかの国の規制が課せられます。

 例えば、船会社から要望された大型クレーンの増設を行う場合に、その都度、国の認可が必要となることから、お客様の急激に変化するビジネス環境への対応がおくれることなどが懸念されます。

 加えて、会社の収入の根幹をなす、ふ頭の貸付料について、その基準額の提出義務や変更命令権を国土交通大臣が有するなど、経営の機動性や柔軟性が著しく阻害され、民の視点に逆行するような規制も課せられます。

 都としては、さまざまな機会を捉え、国に規制緩和を強く求めてまいります。

 また、港湾運営会社への国の出資は、必然的に国の関与の強化を伴うものであり、民の視点による現場の声を踏まえた柔軟な経営を妨げるものであると考えます。東京港は、港湾施設と倉庫、道路などが一体化しており、国が港湾施設の整備や管理にのみ関与しても、背後の道路や倉庫群との円滑なアクセスなどが不完全であれば、港としては全く機能いたしません。

 このように、国の出資には多くの問題があり、国が港湾運営会社の主導権を握るような出資を行うことは妥当性を欠くといわざるを得ません。

 都は、港湾関係者の方々のご意見を踏まえつつ、引き続き都議会のご支援もいただきながら、都が東京港の経営に責任を持ってかかわっていける体制を確保してまいります。

〇東村副委員長 伊藤こういち委員の発言は終わりました。(拍手)

■平成26年 予算特別委員会での発言(2014年3月13日)

〇中屋副委員長 伊藤こういち委員の発言を許します。

   〔中屋副委員長退席、東村副委員長着席〕

〇伊藤委員 舛添知事には初めて質問をさせていただきますが、一生懸命に、また建設的に質問させていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

 平成七年一月十七日の未明、阪神・淡路大震災が発生をいたしました。この日の夕方、私と一緒にいた友人のご両親が神戸で被災をしているという連絡がありました。翌十八日の早朝、私は、この友人とともに飛行機で羽田から伊丹空港に、そこから走って神戸に向かいました。大阪から尼崎、西宮へと進むと、その被害はますます甚大なものとなっていきました。余震が続く恐怖の中、二人で、とにかくご両親が無事であるように、助けられるように祈りながら必死で走りました。

 神戸へ向かう道々で見たもの、それは、幹線道路は大渋滞、その向こうには、大通りを塞ぐように大きなビルが横倒しになっておりました。歩道は避難する人であふれておりました。国道に並行した一本奥に入った道から進もうと思いましたけれども、木造住宅が至るところで倒壊をしている、そして黒煙が立ち上る、ガスのにおいが町中に充満をしている、電柱が倒れ、電線も垂れ下がり、ブロック塀も崩れ、道を塞いでおりました。大通りから脇道まで、至るところで道路が寸断されておりました。五時間かかって、やっとご両親が住んでいた場所に到着しました。

 そこで目に飛び込んできたものは、十一階建てのコンクリートづくりのマンションが粉々に倒壊しておりました。ご両親はその二階に住んでおられました。信じられない光景でありました。どうすることもできなかった。友人は、この崩れた瓦れきのすき間に顔をくっつけながら、父さん、母さん、助けにきたよ、迎えにきたよ、こう叫んでおりました。そして、地震が来ることを知らせてやることができたならばと、震えながら彼は泣いておりました。

 私たちは結局、ご両親を助け出すことができませんでした。本当に悔しかった。六千四百三十四名の方が、かけがえのない命を失いました。

 この阪神・淡路大震災から十九年、そして、いまだ行方不明の方も含めて二万人近くの方が犠牲となった東日本大震災から三年、伊豆大島の土砂災害から間もなく五カ月、私はここで、これまでの災害で犠牲になられた方々に、改めて心から哀悼の意を表したいと思います。

 こうした大きな災害被害からの最大の教訓は、大災害に備えて、一人でも多くの人を守るために、事前にやれることは全てやるということであります。逆に、風化とは、時間とともに被災者や被災地を忘れることであり、また、二度と同じような悲劇を繰り返さないという教訓の具体策を後世に生かすことができないで忘れることであります。

 いつか必ず来る首都直下地震、都は今、都民、国民の命を守るために、国や区市町村と連携をして、事前の災害対策を総合的にわたって実施しております。

 しかし、その中の一施策だけを取り上げて、ためにする反対で中止せよだとか、無駄な事業だとか批判したり、都民の不安をあおり立てる一部の議員がいる。

 阪神大震災では、五百五十九名の方々が、生きながらにして火災によって亡くなりました。

 都が作成した首都直下地震被害想定によると、私の地元品川区だけでも、最悪の場合に死者七百七十九名、そのうち五百二十名が火災による死亡となっております。

 さきに述べたような一部の議員は、阪神・淡路大震災の惨状を知っているのか、現場に行ったのか、見たのか。まるで机上の空論で都の災害対策を批判しているようでありますけれども、本当に大惨事となったときに誰が責任をとるのか、私は問いたいと思います。

 あらゆる観点から必要な手だてを講じて、一人でも多くの人を守りたい。私は、この決意で都議会議員として働いてまいりたいと思うのとともに、以下、質問、また提案をさせていただきます。

 まず、都の災害対策によって、生活不安や負担が生じる都民がいることも事実であり、こうした方々に対しては、一人一人丁寧に対応し、これまでにない手厚い支援を講じるよう、まず東京都に強く求めておきます。

 さて、災害による被害を最小限に食いとめるためには、まず情報が大事であります。情報こそが命といっても過言ではありません。

 神戸で友人がいっていた、地震が来ることを知らせてやることができたならば、私は、この言葉が今でも耳を離れません。あらゆる災害対策とともに、情報、とりわけ大地震が発生する直前の情報が重要だと私は考えます。

 気象庁は、日本の科学技術を結集して、世界に誇る緊急地震速報を二〇〇七年から本格運用しております。このシステムは、大変にすぐれたすごいシステムだと私は思います。緊急地震速報とはどういう仕組みなのか、改めて確認をしたいと思います。(パネルを示す)皆様のお手元にもお配りをさせていただきました。

 地震が発生すると、まず、この揺れというものは波になって地面を伝わってきます。その波にはP波、最初という意味のプライマリーのP波、そして、二番目という意味のセカンドリーのS波、この二つがあります。主に被害をもたらすのは、このS波であります。

 地質によって多少の違いはあるわけでありますけれども、今いった先のP波、これは一秒間で七キロ先に進んでいきます。物すごいスピードです。一と数えている間に、七キロ先にこのP波が伝わっていきます。そして、後からのS波、これは一秒で四キロ進んでいきます。

 つまり、このP波の方が物すごいスピードで進む。その後をS波がおくれて追いかけていく。こういう速度の差を利用して、先に伝わるP波を検知した段階で、被害をもたらすS波が後でやってくる前に危険が迫っていることを知らせるというのが、この緊急地震速報であります。

 このシステムは本当にすごいと思います。数秒でもあれば、身を守るために何か一つでも行動ができるわけであります。子供たちも、身構えることができるわけであります。

 私は、都議会において、都立施設を初め、日中に子供たちが多くの時間を過ごす学校に、まず早急にこの緊急地震速報を設置、導入すべきと繰り返し求めてまいりましたが、そこでまず、現在、都内の公立学校における緊急地震速報の設置状況について伺います。

〇比留間教育長 都立学校におきましては、平成二十年度に、緊急地震速報が即時に児童生徒に伝わる体制を全校で整備いたしました。

 また、公立小中学校については、各学校の取り組み状況を調査し、区市町村教育委員会に学校の実情に即した事例を紹介するなど、緊急地震速報が伝わる体制の整備を促してまいりました。

 この結果、本年二月末時点で、公立小中学校千九百十八校のうち、千五百八十四校、割合にして約八割の学校に整備をされております。

〇伊藤委員 一年前までは整備率が三割であったものを、特にこの一年で整備率八割まで大きく進めていただいた都教委の皆様に心から感謝を申し上げたいと思います。

 今後も、緊急地震速報を使った防災教育の推進など、子供たちの命を守るために、引き続き頑張っていただきたいと思います。

 一方、現行の緊急地震速報にも限界があることは、気象庁自身も公表しております。それは、一つに、震源に近いところでは速報が間に合わないということ、二つ目に、少ない観測点での短時間での観測データから予想するため、精度が十分でなく、速報が発表できない場合があるという、この二つであります。

 そこでまず、震源地に近い地域には間に合わないということですが、それは、首都直下地震では緊急地震速報が作動しない可能性が大きいということであります。

 これをもう少し詳しく、どのくらい近いところに間に合わないのか調べてみますと、気象庁のホームページには、緊急地震速報のシステム的限界が掲載されておりまして、これまでの経験、実績から、震源地より約三十キロメートル以内では警報が間に合わないことがわかります。(パネルを示す)

 そこで、一例として、都が作成をした被害想定の上に、仮に東京湾北部が震源の場合として、約三十キロの弧を当てはめてみますと、甚大な被害が発生する震度六強以上の地域には緊急地震速報が間に合わないということがわかるわけであります。震度が大きなところほど間に合わない。これは大変なことであります。

 さらに、この三十キロメートルの弧を、今度は円にしてみます。そうして見てみますと、国とか、都とか、あるいは千葉県、神奈川県、あるいは区市などの主要施設がこの三十キロの中に集中しております。加えて、平日の昼間の発生であれば、このエリアに数千万人の人が活動している可能性があるわけであります。都庁も間に合いません。国会議事堂も間に合わない。私の地元の品川区役所もこの円の中であります。恐らく、本日いらっしゃる議員の皆様、都の幹部の皆様、ご自分の自宅もいかがでしょうか。これは大変なことになるわけであります。この地域に、何の情報もなく、いきなりどんと来たならば、大変なことになるわけであります。

 また、気象庁が限界という、もう一つの課題、少ない観測点での短時間での観測ということを調べてみますと、全国的な観測点は、平均して約二十から二十五キロメッシュと間隔が広く、目が粗くなっております。

 これを東京で見てみますと、このシステムに使われている観測点は、二十三区で二カ所、多摩地区で四カ所であり、島しょを除く都内で、合わせてわずか六カ所しか観測点がありません。

 そこで、首都直下で発生する巨大地震に備え、沿岸部や東京湾海域、多摩地域などに五キロメッシュ程度に地震観測器を増設して、そしてまたネットワーク化をして、その場で観測して、その場で警報できる、気象庁の緊急地震速報システムを補完する新たなシステムが必要であると私は考えます。

 つまり、先ほど申し上げました、ここがもし震源地だとすれば、P波が先に伝わっていきます。後からS波が追いかけていきます。今申し上げたように、都には六ヶ所しかないんです、このP波を観測しているシステムを使っているところは。これを沿岸地域に、仮にP波を先にキャッチできる機械を沿岸部に、ずっとこれをつけていく。五キロメッシュにつけていく。そして、その後、このP波を感知すれば後からS波は追いかけてきますから、この距離によっては、五秒でも十秒でも、時間を前もって知らせることができるわけであります。やればできるんであります。

 そこで都は、首都直下地震等の際に都民、国民の命を一人でも多く守るために、都立施設等に現行の緊急地震速報を補完するシステムを設置することで、施設内の利用者へ地震の到達を予告できる東京版首都直下緊急地震速報システムを構築すべきであります。まずはその研究、検討を進めるべきでありますが、見解を伺います。

〇中西総務局長 現在、気象庁が発表いたします緊急地震速報につきましては、都庁舎を初めとする複数の都立施設に導入され、庁舎内の人々に注意喚起を行うとともに、エレベーターの制御等にも活用されております。

 委員ご指摘のとおり、緊急地震速報につきましては、地震発生直後の地震波を感知することで、その後の強い揺れに対し警告を行うシステムであるため、震源に近い場所では間に合わないなどの課題があり、気象庁もその限界を認めております。

 緊急地震速報は、スピードや精度においていまだ改善の余地があり、首都直下地震に対応するための手法等について研究、検討を進めるとともに、国にその改善を求めてまいります。

〇伊藤委員 ぜひ東京都の姿勢として、首都直下地震は、まさに東京都の真下で起きる地震であります。この東京都が主体となって、このことをしっかりと進めていただきたい、このように思います。

 神戸で、倒壊したマンションの前でなすすべがなかったとき、私は近くの人に、誰かバイクを持っていませんか、こう声をかけました。そして、その中の一人の方が、これを使ってくださいといってバイクを、キーを貸してくださいました。私は、そのバイクで神戸の消防署、警察署、そして自衛隊が集結している王子公園へ向かいました。そして、助けを求めに行きました。

 すると、数時間後、緊急自動車などの救援が入ってこられない状況のもと、自衛隊のオフロードバイクが倒壊家屋を縫うように走って、瓦れきの山を乗り越えて、要救助者の状況の把握や、そしてまた、被災地域の情報を収集し、無線で自衛官が基地局に情報を伝達する姿を目の当たりにしました。このパネルはそのときのものではありませんが、東日本大震災で救援活動を行っている自衛隊のオフロードバイクであります。

 また、近県からは、多くの青年たちが支援物資をバイクに積み込んで、結びつけて、そして救援活動に参加しておりました。

 首都直下地震は、いつ、どこで、どのぐらいの規模で発生するか予測できないのであります。恐らく、都市を襲った阪神・淡路大震災と同じような惨状に、いや、あの何倍もの大規模災害となる可能性があります。

 また、多摩地域の山間部で、そしてまた、島しょ部で災害があれば、舗装されていない林道に入っていかなければならないこともあります。

 こうした状況が想定される中、私は、悪路や悪条件のもとでも走ることができるオフロードバイクの活用に着目をすべきだと思います。

 一方、東日本大震災や昨年の伊豆大島での災害を教訓としても、災害発生直後は、大きく被害を受けた区市町村ほど、迅速な情報を収集し、それを都や関係機関に送ることは困難であります。都は、大震災発生直後、入ってくる情報を待つのではなく、迅速に積極的に情報をとりにいくべきであります。

 都として、四輪駆動車や自転車、あるいはスクーターなどを配置していることは知っておりますけれども、災害発生直後に積極的情報収集を行うための機動的移動手段として、オフロードバイクを導入していくべきと考えますが、見解を伺います。

〇中西総務局長 首都直下地震等の際には、被災地域が相当な広範囲に及ぶことが想定されるため、関係機関が連携しながら情報を収集し、それを共有していくことが重要でございます。

 具体的には、区市町村の職員等により各地域の被害状況を調査し、都と区市町村を結ぶ災害情報システムを活用して、相互にその情報を共有いたします。自衛隊、警察、消防の各機関も、隊員やヘリコプターを展開するなど情報収集を行い、都へ情報提供いたします。

 さらに、都も、都庁の高所カメラや、道路、河川に設置しているカメラ映像等による情報収集に加え、出先事務所等の職員が、その管理する施設について直接調査を行うほか、区市町村の役場等に職員を派遣して情報収集と連絡調整を行います。

 お話のオフロードバイクは、道路事情が厳しい際にも移動手段として有効であり、現状を踏まえつつ、その活用も含む災害時の情報収集方法等につきまして、各局と連携しながら検討してまいります。

〇伊藤委員 オフロードバイクの活用は有効だというご答弁でありました。ぜひこれは導入をしていただきたいと思います。

 オフロードバイクを乗りこなし、情報通信を扱える人材を育成する必要があります。先日、私は都議会公明党のメンバーと、静岡市のオフロードバイク隊、スカウトというバイク隊を視察、調査してまいりました。(パネルを示す)

 その部隊は、東京都の宮嵜危機管理監のように、自衛官から職員に採用された方が、阪神・淡路大震災でバイクの機動力が有効だったことに着目をしてバイク隊の結成を提案、大震災の翌年、平成八年にこのバイク隊は設置をされました。

 隊員は、中型バイク以上の免許の所持者で、みずから志願した一般の職員であります。現在は三十一名、出先機関など市内の二十七課のそれぞれに所属をして、危機管理部防災課に兼務職員として位置づけられております。

 ふだんはそれぞれが所属する部署で、バイク隊の誇りを胸に人一倍日常業務に精励しておりますけれども、いざ災害時にはバイクで被災地に急行し、初期情報を収集し、市や関係機関への伝達を行う部隊であります。

 装備は、二百二十五ccのオフロードバイクに、デジタル地域防災無線、モールス信号、衛星携帯電話、ロープや水、食料などを携行し、自立完結した活動と任務遂行ができるようになっております。

 訓練は、定期的に県警交通機動隊、また、企業所属のプロライダーなどの指導のもと行われ、特に自衛隊との合同訓練により本格的に人材育成されております。

 これまでも、静岡県内で起きた地震や集中豪雨の際に出動したほか、東日本大震災では先遣隊として現地に派遣されました。パネルはそのときの写真であります。

 舛添知事、このライダーは、静岡市の一般の職員であります。自衛隊と同じぐらいのレベルまで訓練をされている一般の職員であります。

 ここでは、約二カ月にわたって活動し、岩手県から福島県まで約五百キロの沿岸地域の被害調査を行い、被災自治体や自衛隊などに逆に情報提供しております。さらに、地元静岡市に収集した情報を送って、その情報をもとに、遠く離れた静岡市から被災地へ的確な支援につなげるなど、その機動力を発揮したオフロードバイク隊でありました。

 大災害発生直後、警察は警察、消防は消防、まずは救出、救援活動に全力を尽くすわけであります。自衛隊は、まずヘリからの情報収集と各駐屯地からの災害派遣となります。つまり、それぞれがその初動活動の目的が明確となっております。

 一方、都は、行政機関として情報の空白時間を最小限に食いとめ、幹線、支線道路の情報や、水道や下水道、あるいは橋、病院などの主要施設、避難所周辺の火災発生状況などの情報を、都として速やかに収集して区市町村を支援する責務があると思います。

 そこで、都として、静岡市のオフロードバイク隊のこうした取り組みを参考に、災害時や首都直下地震の際、都職員としての専門的目線を持ち、即座に情報収集、調査活動を行える東京オフロードバイク隊の設置をすべきだと考えますが、見解を求めます。

〇中西総務局長 首都直下地震等の際には、被害地域が広域にわたることから、区市町村を初めといたします関係機関が連携協力しながら情報収集などの災害対応を行います。

 都の職員につきましては、所属や住所に応じてあらかじめ定められた災害対応を行うこととなっており、具体的には所管施設の被害状況の調査、復旧、都立公園等での大規模救出救助活動拠点の設置、医療機関等との調整、避難所運営の支援などを行います。

 各局が所管施設の被害状況などを調査する際に、緊急通行車両として位置づけられた自動車等を活用する例がありますが、これに加えまして、オフロードバイクの活用が有効な場合もあると想定され、今後、その活用について検討してまいります。

〇伊藤委員 舛添知事は、就任後初めての施政方針表明で、東京都職員十六万五千人の力を引き出し、束ね、たとえ困難な道であっても、地に足をつけて前へと進みますと述べられました。ぜひとも、都職員の能力を引き出して、東京オフロードバイク隊の創設、そして、先ほどの東京版首都直下地震緊急地震速報の実現に、知事を先頭に全力で取り組んでいただきたいと思います。

 東京発信で世界一安全な都市を構築する舛添知事の所見を伺います。

〇舛添知事 さまざまな大変貴重なご提案、ありがとうございました。伊藤委員おっしゃるように、危機管理で一番重要なのは情報であります。そして、強力なリーダーシップでそれに基づいて対応するということでございます。直下型地震に今の緊急地震速報が対応できないということでありますので、これは早急に、都としても国とともに研究を進めていきたいと思っております。

 それから、オフロードバイクですけれども、これは、まず全体を鳥の目で見て被害状況を見ないといけない。しかし、ヒューミントといわれるヒューマンインテリジェンスというのは非常に重要でありますので、恐らくその点についてもオフロードバイクというのは非常に有効になるというふうに思っております。

 ただ、バイクだけではなくて、そこにどういう情報通信手段をつけるかとか、それから、緊急車両も入れない、一切の車両が入っちゃいけないという警察の規制があったときに、自衛隊だって入れなかったわけですから、そういうものについて法的な側面をどうするか、そういうことを総合的に検討しないといけない、そういう課題がまだまだあると思いますけれども、しかし、貴重な提案として、今後、都民の生命と財産を守る、そのためには情報収集というのは基本であるという観点から、伊藤委員のご提案につきまして前向きに取り組んでまいりたいと思っております。

〇伊藤委員 前向きなご答弁、本当にありがとうございます。

 次いで、命を守る観点から、配偶者暴力対策について質問をいたします。

 連日のように、通り魔、虐待、DV、ストーカーなど、悲惨な事件が続いております。こうした中、人の命をしっかりと守っていく社会を築いていかなければいけません。とりわけ、被害者本人のみならず、子供にも重大な影響を与える配偶者暴力については、未然防止から即時対応まで、万全の体制を整備する必要があります。

 平成十三年に制定された配偶者暴力、いわゆるDV防止法は幾度か改正され、本年一月からは、結婚をしていなくとも一緒に住んでいる交際相手からの暴力及びその被害者についても、この法を準用することとなるなど整備されつつあります。

 一方で、記憶に新しい、伊勢原市の元夫による女性刺傷事件や、文京区では父親が小学三年生の男の子を道連れに焼身自殺を図った事件など、被害は深刻化の一途をたどっております。

 ここでパネルを見ていただきたいと思います。先ほど申し上げたように、平成十三年にDV防止法が制定をされまして、その後でありますが、これが平成二十四年度でありますが、年々物すごい勢いでこの相談件数が伸びております。

 中でも、区市町村におけるこの相談件数の伸びは顕著であります。まずは被害者の安全確保、そして生活再建のためには、住民基本台帳の閲覧制限や生活保護等の支援を担う身近な窓口である区市町村の役割が、これまで以上に重要になっていることがわかります。

 しかしながら、迅速に的確に困難事例などにも対応できるDV相談支援センター機能を有している区市町村は、現在、わずか五区にとどまっており、都全域での体制整備にはほど遠い状況となっております。

 そこで、各区市町村が一刻も早くDV相談支援センター機能を設置することができるよう、都はリーダーシップを発揮し、人材育成も含めてしっかりと支援すべきと考えますが、都の見解を伺います。

〇小林生活文化局長 都はこれまで、区市町村に対しまして配偶者暴力相談支援センター機能の設置に向けた働きかけを行うとともに、職歴や経験に応じた多様な研修を通じて相談員の育成に努めてまいりました。

 しかし、ご指摘のとおり、区市町村における取り組みはまだ緒についたばかりであり、加速化させるには都の強力なリーダーシップが不可欠であると認識しております。

 このため、都は来年度から新たに、全ての区市町村を直接訪問し、それぞれの実態、課題を踏まえて設置に向けた助言を行うなど、アウトリーチ活動を開始いたします。

 また、センター機能設置のかなめとなる人材の育成やスキルアップを図るため、困難案件の対応事例集を作成しノウハウの共有を図るとともに、相談員などが少人数のため研修や説明会に参加しづらい区市町村に対しては出前講座を実施するなど、実情に応じたきめ細やかな支援を行ってまいります。

〇伊藤委員 DV相談支援センターを初めとする被害者支援に携わる関係機関は、事件に至ることを防ぐ被害者救済の最前線として大変な役割を果たしているわけであります。

 しかしながら、被害者側の視点から見ると、都や区市町村ごとに、あるいはNPO等の関係機関ごとに対応にもばらつきがあって、さらに、行政区域を越える広域的な連携や支援についてもいまだ不十分な点があるといわざるを得ません。

 つまり、こっちではこう対応し、あっちの区市に行けばまたちょっと違うことをいわれて、こう対応が違っていては、相談者はかえって混乱をしてしまったり、被害から守れない結果となることもあると思います。

 そこで、行き届いた支援を行っていくためには、関係機関が共通認識を持ち、日々の相談、一時保護、自立支援等、それぞれの段階において、より一層連携を強化して被害者支援に当たっていくべきと考えますが、見解を伺います。

〇小林生活文化局長 配偶者暴力被害者の救済には、相談から保護、生活再建に至るまで、支援に携わる関係機関が密接に連携し、切れ目のない支援を行うことが重要であります。

 都は、今年度の取り組みといたしまして、暴力を発見しやすい立場にある医療関係者に対し、東京都医師会の全面監修のもと、被害者対応のマニュアルを作成するなど、対応の標準化を進めてまいりました。来年度は、現場における実践的な連携を強化するため、新たな取り組みを行ってまいります。

 具体的には、まず、行政区域を越えて加害者からの避難が必要な案件について、広域連携を図るため、都と区市町村の連絡体制を整備いたします。

 また、自立を目指す被害者を支援するNPO等民間支援団体との間で、被害者の実態、ニーズの共有化や解決策の検討を協議する新たな場を設け、民間の取り組みを後押ししてまいります。

〇伊藤委員 次に、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック大会文化プログラムについて質問いたします。

 オリンピック憲章には、スポーツのみならず文化プログラムの開催がうたわれております。それは、オリンピック・パラリンピック競技大会の準備期間及び大会中の両方で開催することになっております。

 私は、二〇二〇年東京開催に向かい、準備期間中の今から、この六年が大事だと思います。この準備期間に、スポーツとともに、日本の、そして東京の文化、芸術の魅力を世界に発信するとともに、世界の文化、芸術との交流を進めながら、オリンピックムーブメントを日本中に広げていく必要があると思います。

 都として、島しょを含めた全東京を舞台に、例えば、秋葉原では、アニメなどのコスプレパレードや、昭和三十九年の東京オリンピック会場だった駒沢オリンピック公園では大盆踊り大会や被災地のグルメ紹介、また、都内各所のホール、劇場ではクラシックや歌舞伎などを開催してはどうかと提案します。

 東京中が文化、芸術で一色に染まるような文化イベントを繰り広げることにより、世界中から訪れる多くの方々が、東京に来てよかったと感じられるよう、二〇二〇年東京大会を成功に導いていくべきだと思いますが、見解を伺います。

〇小林生活文化局長 ロンドン・オリンピックでは、市の中心部で何千人もが一斉にダンスを披露するビッグダンスや、著名人の彫像に帽子をかぶせて展示するハットウオークなど、公園や広場などの町なかでさまざまな文化イベントが集中して開催され、二千万人以上が参加し、多くの人々が文化に親しみました。

 二〇二〇年の東京大会におきましても、都市が劇場になり、さまざまな場で芸術、文化を繰り広げることを立候補ファイルでうたっております。

 都民はもとより、世界から訪れる人々が国内外のアーティストとともに創作活動を行うなど、町なか至るところで文化イベントを体験できるオリンピック文化プログラムとなるよう検討を進めてまいります。

〇伊藤委員 先日、二月二十三日は第八回東京マラソンが開催され、三万六千人のランナーが東京を舞台に力を尽くしました。約百六十三万人が沿道から声援を送り、コースとなる道路は約六時間にわたって交通規制となるところもありましたが、多くの都民が協力をして見守り、そして応援をしました。

 この一大スポーツイベントとなった東京マラソンは、二〇一六年東京オリンピック・パラリンピックを目指して石原元都知事が提唱し、今や世界の六大マラソンレースにまでなりました。私は、舛添知事には、ぜひ、一大文化イベントの創設者になっていただきたいと思います。

 そこで、知事に提案ですが、ブラジルのリオのカーニバルが世界的に有名なように、東京の一大カーニバルとして、仮称大江戸東京大祭りを都庁前で繰り広げ、世界的なカーニバルにしていってはどうかと思います。

 例えば、日本神輿協会という団体が、毎年、木場公園で大江戸神輿まつりを開催しております。全国から巨大なみこしが集まり、被災地や全国からもたくさんの担ぎ手、数千人がみこしを担いで、壮大な光景の祭りであります。

 この祭りは、二〇〇三年、都が主催した江戸開府四百周年記念行事として第一回を開催して、ことしで十二回目を数える伝統的な行事となっております。

 こうした全国のみこしを初め、被災地や各地域を代表する踊り、若者のダンス、マーチングバンドなど、都庁前を盛大に行進する一大文化イベントを、準備期間から二〇二〇年東京大会まで毎年開催してはどうかと提案します。

 オリンピック・パラリンピックはレガシーが重要であります。しかし、箱物は形に残りますが、文化イベントは形では残りません。ゆえに、みこし祭りなどの文化イベントを準備期間から五輪開催時に繰り広げ、そして、五輪後も次世代への文化レガシーとして継承していくことで、永遠に多くの人の心に残るものにしていくべきと考えますが、知事の所見を伺います。

〇舛添知事 今、伊藤委員おっしゃったみこしは、古来から続く日本の祭りの象徴でありまして、担ぐ人や見る人がその瞬間高揚するだけでなく、あすへの希望や平和な暮らしへの祈りも込められていると思います。

 今おっしゃった大江戸神輿まつりのように、地域の伝統文化を生かして、町なかで多くの人の参加を得て、世界中から集まる人をおもてなしするということは大変すばらしいことだと思います。

 今後、内外の英知を結集しまして、さまざまな人が参加する、未来へのレガシーともなる、伝統文化を生かした文化プログラムをつくっていきたいと思います。

〇伊藤委員 最後に、国際コンテナ戦略港湾政策について伺います。

 国の戦略港湾政策の当初のコンセプトは、選択と集中の理念のもと、重点投資する港湾を公募によって選定し、我が国港湾の国際競争力を強化するものということでありました。

 しかしながら、この国の政策あるいは港湾法でありますけれども、これが時とともに随分変わってきてしまった、首をかしげざるを得ないような、こうした状況も出てまいりました。

 特に、政策の目玉として創設をされた港湾運営会社制度には問題があります。

 そもそも国の戦略港湾政策は、ふ頭会社へ民間人の社長を導入するなど、民の視点による柔軟な港湾経営を目指すこととしていたはずであります。現に、東京都ではそのようにして今改革が進んでいるところでありますが、ところが、国の港湾法では、民の視点と逆行するような規制強化という色が濃い内容となっております。

 そこで、港湾運営会社に課せられている規制について、具体的にはどういう内容なのか、これを伺いたいのが一つ。

 そしてまたもう一つは、この港湾運営会社に対して、国が出資するということになっておるようでありますけれども、国の方は、会社の迅速な意思決定ができるようになると、聞こえのいいようなことをいっておりますが、現実には国の関与がますます強まっていくことになります。

 また、国は、この出資により、投資に必要な資金を低利で調達が可能となると、これまた聞こえのいいことをいっているようでありますが、港湾運営会社に対しては、もともと国や自治体が無利子で港湾施設の整備費用を融資する制度があるはずであります。

 こうした意味のないことをいってきているわけでありますが、そこで、先ほどの質問とともに、港湾運営会社へ国が出資するという制度に対し、都の見解を伺うとともに、今後の東京港に対する都の姿勢について局長の決意を伺い、質問を終わります。

〇多羅尾港湾局長 港湾運営会社には、利用者の求めるサービス向上に迅速に対応していく上で、障害となる幾つかの国の規制が課せられます。

 例えば、船会社から要望された大型クレーンの増設を行う場合に、その都度、国の認可が必要となることから、お客様の急激に変化するビジネス環境への対応がおくれることなどが懸念されます。

 加えて、会社の収入の根幹をなす、ふ頭の貸付料について、その基準額の提出義務や変更命令権を国土交通大臣が有するなど、経営の機動性や柔軟性が著しく阻害され、民の視点に逆行するような規制も課せられます。

 都としては、さまざまな機会を捉え、国に規制緩和を強く求めてまいります。

 また、港湾運営会社への国の出資は、必然的に国の関与の強化を伴うものであり、民の視点による現場の声を踏まえた柔軟な経営を妨げるものであると考えます。東京港は、港湾施設と倉庫、道路などが一体化しており、国が港湾施設の整備や管理にのみ関与しても、背後の道路や倉庫群との円滑なアクセスなどが不完全であれば、港としては全く機能いたしません。

 このように、国の出資には多くの問題があり、国が港湾運営会社の主導権を握るような出資を行うことは妥当性を欠くといわざるを得ません。

 都は、港湾関係者の方々のご意見を踏まえつつ、引き続き都議会のご支援もいただきながら、都が東京港の経営に責任を持ってかかわっていける体制を確保してまいります。

〇東村副委員長 伊藤こういち委員の発言は終わりました。(拍手)